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経理・総務にかかわる箇所はどこか

II.経理・総務にかかわる箇所はどこか – マイナンバー制度企業実務対それでは、以下では経理・総務業務に関わる部分を中心に法律の中身について見て行きます。

1.目的

第1条には目的が規定されています。

(目的)

第1条 この法律は、行政機関、地方公共団体その他の行政事務を処理する者が、個人番号及び法人番号の有する特定の個人及び法人その他の団体を識別する機能を活用し、並びに当該機能によって異なる分野に属する情報を照合してこれらが同一の者に係るものであるかどうかを確認することができるものとして整備された情報システムを運用して、効率的な情報の管理及び利用並びに他の行政事務を処理する者との間における迅速な情報の授受を行うことができるようにするとともに、これにより、行政運営の効率化及び行政分野におけるより公正な給付と負担の確保を図り、かつ、これらの者に対し申請、届出その他の手続を行い、又はこれらの者から便益の提供を受ける国民が、手続の簡素化による負担の軽減、本人確認の簡易な手段その他の利便性の向上を得られるようにするために必要な事項を定めるほか、個人番号その他の特定個人情報の取扱いが安全かつ適正に行われるよう行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十八号)、独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十九号)及び個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号)の特例を定めることを目的とする。

これを分解すると、次の5つの趣旨になります。

①情報授受を簡素化・効率化する
②行政分野におけるより公正な給付と負担の確保を図る
③国民が行う行政手続を簡素化し、国民負担を軽減する
④国民が本人確認の簡易な手段その他の利便性の向上を得られるようにする
⑤個人番号その他の特定個人情報の取扱いが安全かつ適正に行われるようにする

2.定義

第2条は定義です。本法律で特有の言葉を使いますので、言葉の理解は重要です。以下、重要な言葉の定義について記載します。

●個人番号

この法律において「個人番号」とは、第七条第一項又は第二項の規定により、住民票コード(住民基本台帳法(昭和四十二年法律第八十一号)第七条第十三号に規定する住民票コードをいう。以下同じ。)を変換して得られる番号であって、当該住民票コードが記載された住民票に係る者を識別するために指定されるものをいう。

※個人番号が法律用語でマイナンバーはその呼称です。

●個人番号カード
この法律において「個人番号カード」とは、氏名、住所、生年月日、性別、個人番号その他政令で定める事項が記載され、本人の写真が表示され、かつ、これらの事項その他総務省令で定める事項(以下「カード記録事項」という。)が電磁的方法(電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によって認識することができない方法をいう。第十八条において同じ。)により記録されたカードであって、この法律又はこの法律に基づく命令で定めるところによりカード記録事項を閲覧し、又は改変する権限を有する者以外の者による閲覧又は改変を防止するために必要なものとして総務省令で定める措置が講じられたものをいう。
※要はICカードのことです。
●特定個人情報
この法律において「特定個人情報」とは、個人番号(個人番号に対応し、当該個人番号に代わって用いられる番号、記号その他の符号であって、住民票コード以外のものを含む。
第七条第一項及び第二項、第八条並びに第六十七条並びに附則第三条第一項から第三項まで及び第五項を除き、以下同じ。)をその内容に含む個人情報をいう。
 ※個人情報と個人番号が合わさると特定個人情報になり、特に重要な情報になります。
●特定個人情報ファイル
この法律において「特定個人情報ファイル」とは、個人番号をその内容に含む個人情報ファイルをいう。
●個人番号利用事務
この法律において「個人番号利用事務」とは、行政機関、地方公共団体、独立行政法人等その他の行政事務を処理する者が第九条第一項又は第二項の規定によりその保有する特定個人情報ファイルにおいて個人情報を効率的に検索し、及び管理するために必要な限度で個人番号を利用して処理する事務をいう。
※主に行政機関が行う事務を指します。
●個人番号関係事務
この法律において「個人番号関係事務」とは、第九条第三項の規定により個人番号利用事務に関して行われる他人の個人番号を必要な限度で利用して行う事務をいう。
 ※通常の会社は、個人番号関係事務を行うことになります。

3.事業者の努力

民間の事業者は、マイナンバー制度の重要な関係者として国または地方公共団体が実施する施策に協力するよう努力義務規定が置かれています。

(事業者の努力)

第6条 個人番号及び法人番号を利用する事業者は、基本理念にのっとり、国及び地方公共団体が個人番号及び法人番号の利用に関し実施する施策に協力するよう努めるものとする。

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4.個人番号(呼称:マイナンバー)

マイナンバーは、法律に基づき日本に住む人、一人ひとりにつけられる番号です。法律による正式な名称は定義でみたとおり「個人番号」です。国民から募集し、マイナンバーという呼称がつけられました。マイナンバーは、数字のみの12桁になります。

●付番のしくみ

現在、日本に住んでいる人には一人ひとりに「住民票コード」と呼ばれる11桁の数字が割り当てられています。マイナンバー法では、この住民票コードを変換することにより個人番号が重複しないように個人番号を生成することとしています(法第8条)。この付番作業を行うために、個人番号付番等システムが構築され、地方公共団体システム機構が運営します。

 ※地方公共団体情報システム機構とは、番号制度の導入という国の大きな変革の中で、地方分権の理念に立ち、地方公共団体が共同して運営する組織として、平成26年4月1日に設立されました。

なお、マイナンバー付番のポイントは、悉皆性(1つも残さず全部という意味)と唯一無二性(同じ番号を持つ人が2人以上いないという意味)を実現することです。これにより、マイナンバー法の目的、メリットを達成できるようになります。また、番号は一定の外国人にも付番されることになるため、自社に外国人従業員がいる場合はご留意ください。

5.通知カード・個人番号カード

番号制度では、通知カードと個人番号カードという2種類のカードが導入されます。「通知カード」は、紙製が予定されており国民全員に配られ、「個人番号カード」はICカードで希望者のみに配られます。

●通知カード

通知カードには氏名、住所、生年月日、性別、個人番号その他総務省令で定める事項が記載され、平成27年10月には国民全員に市区町村から送付されます。顔写真は掲載されないため、本人確認に用いることはできません。

今後、住所が変わり他の市区町村に転入する場合、通知カードを引っ越し先の市区町村に提出し、内容を変更してもらいます。

また、通知カードは、行政機関等に自分の個人番号を伝える際に、その番号が自分の番号であることの証拠(真正性確認)として提示するために使う大切なカードです。

●個人番号カード
個人番号カードは、希望者のみに配布されるというものですが、大変便利なカードのため国民の間で普及して行くと思われます。所持するには、住民票のある市区町村長に本人が申請しますが、その際、通知カードは返納しなければなりません。また、発行の際には厳格な本人確認が行われます。
◆個人番号カードイメージ
p0201個人番号カードは、マイナンバー法の導入とともに、住民基本台帳カードの後継となるICカードです。
すでに保有している住民基本台帳カードは継続して利用可能ですが、新規発行は個人番号カードになります。
◆住民基本台帳カードと異なる点
・個人番号が券面に記載され、読み出せるようになります。
・住民基本台帳カードでは、顔写真は希望により選択できましたが、個人番号カードでは顔写真が必須となります。
◆個人番号カードの利用場面
・本人確認が個人番号カードのみでできますので、新しい身分証明書になります。
・マイ・ポータル、e-Taxによる税務申告のためにも必要になる予定です。
・個人番号カードは、住民基本台帳カードを引き継ぐものであり、図書館カードや印鑑登録証明書自動交付機用カードとしてなど、市区町村が独自に機能を追加することができます。

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6.マイ・ポータル

マイ・ポータルは、法に基づき新設される一人ひとりに適した情報をお知らせするポータルサイトのことです。これにより、①ブッシュ型サービスの閲覧、②ワンストップサービス、③アクセス記録の閲覧、④特定個人情報の閲覧などができる予定です。ただし、これはちょっと先の話です。

①プッシュ型サービス
現行は、国民からの申請がなければ手続が開始されない「申請主義」となっている場合が多く、国民にとっては、給付や行政サービスを知らない場合、受給することができません。番号制度導入後は、行政庁が受給資格のある国民を、ITシステムにより確認することができるようになるため、行政庁から積極的に行政サービスに関するお知らせを行ったり、申請を促すことができるようになります。
②ワンストップサービス
複数の行政手続を一度に実行できるようになります。
③アクセス記録の閲覧
番号制度により、国や地方公共団体の間で自分の情報を勝手にやりとりされないか、不安を持つ者も多いと思います。マイ・ポータルではいつだれが自分についてどの特定個人情報を何のために授受したかを確認できるようになります。これにより不正連携の有無を本人がチェックできるようになるのです。
④特定個人情報の閲覧
たとえば、確定申告の際に必要な社会保険料控除などを確認できるようになります。

7.行政機関が行う情報連携のしくみ

マイナンバー法により、個人情報を一元管理する行政機関を設立するわけではありません。従来同様、個人情報は各行政機関が保有し、管理します。

この点では従来と何ら異なることはないのですが、それぞれの機関が持つ情報を効率よく、迅速に効果的に連携することがマイナンバー法によりできるようになりました。

◆他機関への照会

マイナンバー法においては、他機関への個人情報の照会(情報の求め)、回答(提供)が電子化されます。
そのために、総務大臣が情報提供ネットワークシステムを設置し、管理することが法21条に定められています。こうした情報のやりとりは、従来からも行われていました。具体的には、文書の照会、電子メール、分野ごとの情報システムによる情報提供などです。
マインバー法により、これらの情報交換のうち、マイナンバー法別表第2に記載される情報は、情報提供ネットワークシステムを経由して行われるようになりますので、スピードと効率が格段に上がります。
◆別表第2(第19条、第21条関係)

情報照会者 事務 情報提供者 特定個人情報
1厚生労働大臣 健康保険法第5条第2項の規定により厚生労働大臣が行うこととされた健康保険に関する事務であって主務省令で定めるもの 医療保険者により医療に関する給付の支給を行う全国健康保険協会、健康保険組合、日本私立学校振興・共済事業団、共済組合など 医療保険各法又は高齢者の医療の確保に関する法律による医療に関する給付の支給又は保険料の徴収に関する情報
2全国健康保険協会 健康保険法による保険給付の支給に関する事務であって主務省令で定めるもの ①医療保険者又は後期高齢者医療広域連合 医療保険給付関係情報であって主務省令で定めるもの
②健康保険法第55条又は第128条に規定する他の法令による給付の支給を行うこととされているもの 健康保険法第55条又は第128条に規定する他の法令による給付の支給に関する情報であって主務省令で定めるもの
③市町村長 地方税関係情報
④厚生労働大臣若しくは日本年金機構又は共済組合等 年金給付関係情報であって主務省令で定めるもの
 以下、省略※全部で119個の情報照会者が限定列挙されている。


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